誰もが知っているロダン、ロダンがどういう芸術家なのかをご存知でしょうか? 今日はロダンについてのエピソードを紹介します。 まず、オーギュスト・ロダンのブロンズ像「考える人」は、単体として有名なものですが、本来は「地獄の門」という群像作品を構成する一部分です。 ロダンはダンテの叙事詩「神曲」の地獄篇に登場する地獄の門をテーマとして「地獄の門」にとりかかりました。 長い年月を費やしたものの、ロダンは地獄の門を完成させることなく亡くなったので、地獄の門は未完の作となっています。 |
ところで、世界中にたくさんオリジナルが存在する「考える人」ですが、オリジナルがたくさんあるということ自体が素人には不思議な感じもしますが、それは作品の製造方法によるからなのです。
ロダンは数々の作品は、粘土で作られています。 粘土の作品から石膏の型をとり、その石膏の型にブロンズを流し込んで固めてできた鋳造がブロンズ像となるというわけです。 この石膏の型からできあがった鋳造をオリジナルと呼ぶので、オリジナルがたくさん存在することが可能となるわけです。 つまり作ろうと思えば、いくらでも作れるオリジナルなのです。 |
それについてはいろいろと問題点もあるようで、結局、フランスの法律では、オリジナル作成の数は制限されています。 そんな地獄の門の一部だった考える人がなぜ独立して有名になることとなったのかというと、地獄の門を見て感動した鋳造家のリュディエが、この男性像だけを拡大して鋳造したものが、今私たちに広く認知されている「考える人」となったというわけなのです。 ちなみに「考える人」と命名したのもリュディエ。 |
地獄の門の上に腰をかけて、人々を見下ろしながら考えることっていったい何なんでしょうねえ。私には高みの見物的にみえますが、そんな風に思うのは私が俗物だからかもしれませんね。 以下、考える人が何を考えているのかの手掛かりとして、地獄の門に掲げられている銘文をあげます。 「われをくぐりて 汝らは入る なげきの町に われをくぐりて 汝らは入る 永劫の苦患に われをくぐりて 汝らは入る ほろびの民に 正義 高きにいますわが創造主を動かす われを造りしは 聖なる力 いと高き知恵 また第一の愛 永遠のほか われよりさきに 造られしもの無し われは永遠と共に立つ 一切の望みは捨てよ 汝ら われをくぐる者」神曲地獄篇 寿岳文章訳 ちなみに、「考える人」は3つのサイズがあります。180cm、70cm、40cm。 ロダンが最初に製作したのは70cmだったそうですよ。 |