脂質というと、現代では諸悪の根源と言われている栄養素です。 メタボリックシンドロームという言葉がある通り、取りすぎると、肥満や脂質異常症などの原因になるといわれています。 それ故、現代の医療では、なるべく脂質を摂取しないように注意喚起されていて、脂質を抑制させる作用のある薬やサプリメントの需要が増え続けています。 |
しかし、脂質は人間の三大栄養素である事を忘れてはいけません。それなりに摂取しないと人間は健康的な生活を営むことが出来なくなり、逆に健康にマイナスになる事もあるのです。 その脂質ですが、脳のストレス耐性をアップさせるという事が分かっています。 ある実験で、脂質をそれなりに含んだ食事を摂取した群と、全く脂質を含まない食事を摂取した群とに分け、その後両方の群に同一のストレスを与えた後に、唾液中のストレス数値を計測したところ、なんと、脂質を与えた群の方が、脂質を含まない群よりも、ストレスをはるかに感じていないということが分かりました。 人間は脂質を適度に摂取していると、ストレスに対する感受性が低くなり、ストレス耐性が高まるという事が実験で分かったのです。 この実験から、逆に人間という生き物は、ストレスを緩和させるために脂質の高い食品を求めるという事も分かっています。ストレスを感じている時は、知らず知らずのうちにあぶらっこいものを求める傾向にあるのです。 |
人間がストレスを回避するメカニズムとして、副腎皮質ホルモンを分泌させてストレス反応から身を守るという方法があります。 副腎皮質ホルモンとは、腎臓の上にある副腎から分泌されるホルモンで、炎症を緩和する効果や、細胞を元気にさせる効果などを併せ持つ人間が健康を保つのになくてはならないホルモンです。 この副腎皮質ホルモンの材料として脂質が絶対に必要なのです。 |
人間は知らず知らずのうちに、この材料になる脂質を求めているのかも知れません。 無意識のうちに自分の体に必要な物質を求めているというのは、やはり人間の体ってよくできていますよね。 |